気になるから触りたい







平和な午後の時間を、突然打ち破ったのはイギリスの一言だった。
「…なあ」
「なに」
「ロシアって、胸あんのかな」
その突拍子もない言葉に、初めに驚いたのはフランスだった。
「……はぁ!?」
「いや、だってよ。あいついっつもコートで体覆ってるけど。もともと体は大きいじゃねぇか」
「だからって…なんで?」
「いや…揉めるかな、なんて」
「お前…正気か?」
フランスは本気でイギリスを疑り始めてしまう。半ば本気な表情で、額に手を当てている。
「正気だよっ!馬鹿!お前はそう思わないのかよ?」
「…というか、お兄さん一度あいつ剥いだことあるし」
「剥いだって…よくできたな君!」
アメリカも変なところで反応する。
「マジかよ。…で、どうだった」
「どうだった、というか…その後の反応が怖くてあんまり覚えてないんだよなあ…あ、でも肌は白かったぞ」
「まあ…それは」
想像つくな、と二人とも頷く。
「おまけに、全然感じてなかった」
「不感症か?」
不感症、そんな言葉にぶ、と二人は噴出した。
「ばっ、そんなこと万が一にでもあいつに聞かれてみろ!何て言われるか分かったもんじゃね…」
「でも、そう言われると気になるんだぞ…」
「もし分かったら教えろよ。揉めるんだったら、俺も揉んでみてえ」
「まあ、命は保障されないだろうけどな」
お兄さんだから助かったようなものだよ?と得意げに言うフランス。確かに、連合の中では彼が最も気を許されているのだろう。
イギリスやアメリカにとっては、それが面白くない。
「まぁ、男だからな。普通は反応しないんじゃないか?」
「ばぁか、男でも敏感な奴は敏感だぜ?」
「ロシアのおっぱい…」

白くて、柔らかいおっぱい……何だか、誘惑そのものだ。

「まあ、直接揉ませてくださいっつってもボコられるだろうしな」
「なら…やっぱりバックからか?」
「なに、お前らマジでやんの?」
「たりめーだろ、アメリカが」
「俺かい!」
「なんだよ、気になるんだろ?男なら、ロマンに飛び込んで来い」
ロマンというか、相手も男なんだけどな。
そんなアメリカの抵抗は、あっさりと打ち破られた。






ロシアの休憩室に、とりあえずアメリカは行ってみることにする。
会議が終わり、まだ帰っていなければ中にいる筈だ。

「…ロシア?」
「……」
反応は無く、幸いにも扉に鍵は掛かっていなかったのでおそるおそる部屋に入ると、ロシアは居た。
ソファに凭れ掛かって、うとうと居眠りをしているようだ。
「…起きてるかい?」
アメリカは念のため、声を掛けてみるが勿論反応はない。
そっとアメリカは彼に近づき、手を伸ばしてみる。
本当にやるのか、本当に。やってしまって、いいのか自分。
ごく、と唾を飲む。ちょっとだ。本当に、確認したらすぐに止めよう。そう覚悟して、そっと触れた。

ふに。


(あ…柔らかい)

ふにふにふに。

彼の胸は女性のそれほどはなかったが、ほんの少し揉めるくらいには柔らかかった。
「…ん……」
(まずい)
いい加減止めなくては。だが、思ったよりさわり心地が良く、ついついもっと触りたくなってしまう。

ふにふにふにふにふに

「んん……やぁ…ぁ」
微かに聞こえた甘い、声。
(今のは……ロシア?)
気の所為か、顔が赤い気がする。

ふにふに、ふにふに。

「や……っ……は、ん…」
(ロシア…感じてる…?)
フランスの言っていたように、不感症ではなかったらしい。ちゃんと反応がある。
何だか楽しくなってきたアメリカは、ちょっといたずらしてやろうと企む。
ぷちぷちとコートを剥がし、胸をはだけさせる。確かにフランスが言っていた通り、肌は雪のように真っ白だ。
そして、肌から直に胸を揉んでやった。
「…っぁあ……!」
びくん、と体が跳ねる。やりすぎたかな、とアメリカは思ったが、既に遅い。
固くなった二つの突起に、そっと舌を這わせる――
「や、ん……ッ!…ふ、ぁ?」
ようやく目を覚ましたロシアは、一瞬自分に何が起きたのか、分からずにいた。
「やあ、起きたかいロシア?」
「え…なに、してるのアメリカ君?」
どうしてアメリカが居るのか。そして、何故自分はコートを剥がされているのか。
状況がいまいち呑み込めない。
「君、暑いからって着替えようとしていたんだろう?けどそのまま、寝ちゃったみたいだね」
「???ふーん…」
いまいちよく分からなかったロシアだったが、アメリカに促されてそのまま服を着直す。
(僕、寝ちゃってたんだ…)
こうしてアメリカは、全く被害を蒙らずに帰還したのであった。










「イギリス!フランス!」
「アメリカ?どうした?」
「ロシアの胸を揉んできたぞ!」
その言葉に、思わず二人ともがばりと立ち上がる。
「はぁ!?よく無事だったな?」
「ああ、確かに女性のものほどじゃないけど…ほんとに白くてすべすべして柔らかかったんだぞ!」
アメリカの気になるワードに、二人は一瞬ん?と思った。
「白くて?ってお前…」
「いや、ロシアがね。揉んでたら感じちゃったみたいでさ。可愛い声を漏らすもんだから、つい」
脱がしちゃった、とアメリカは自慢げに話す。イギリスもフランスも驚いたようだった。
「なんだよ!不感症ってのは嘘か?」
「いいなあアメリカ!俺も聞きたかったロシアの声!」





「誰の声が聞きたいって?」



「!!!」




振り返ると、部屋の温度が一気に下がった気がした…のではなく、確実に下がった。零下まで。
凍りついた笑みのロシアが、入り口に立っている。
手には蛇口を持って。
「君たち…いい度胸してるよね。特にアメリカ君」
「へっ!?ロ、ロシア君、今の話聞いてたのかい?」
「うん。ぜーんぶ。扉の外まで丸聞こえだったよ、君たちの声」
だから、覚悟してね?
うふっ。その笑顔に、あ、可愛い。なんて思ったアメリカは末期だと思った。



その数秒後、三人の断末魔の悲鳴が聞こえたのは、居合わせたカナダの証言である。










End

ほんとに突発的なアホ&エロギャグになりました。ろたまごめん。ちょっと弄くりたかったんだ(←
しかし実に兄ちゃんはナイスだと思います。まさかほんとに剥いでくれるとは。(クリスマス
兄ちゃんに触られても反応しないけど、めりかに触られたら感じちゃうろたまとかいいなと思いました。
2013,8,21






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